アジアシリーズ2008 11.13-11.16 TOKYO-DOME

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中国選抜チーム ジム・ラフィーバ監督インタビュー

中国は、2008年に開催される北京五輪を見据えて、選抜チームとして参戦します。8月21日に来日し、北海道日本ハムファイターズ、千葉ロッテマリーンズ、東京ヤクルトスワローズ、読売ジャイアンツをはじめ8球団のプロ野球球団のファームと親善試合を重ねてきました。この中国選抜チームを率いるのが、かつて日本でロッテに在籍し活躍したジム・ラフィーバ監督。中国選抜チームの現状や「KONAMI CUPアジアシリーズ2006」に向ける意気込みを聞きました。

【Q】中国チームの現状は?また、昨年のアジアシリーズや今春のWBCを経て、チームの成長はありましたか?

【A】このチームの監督になって4年になります。この4年で進歩しています。野球が生まれた国・アメリカにも渡り、シアトルマリナーズなどメジャーリーグチームとも試合しました。またアジアシリーズやWBCのような国際的なトーナメント大会にも参加してきました。ここ数年でかなり進歩し、自分たちが目指すところへ近づいてきていると思います。チームの現状は、いい状況にあるといってよいでしょう。

【Q】2008年の北京オリンピックに向けてどのような目標をたてていますか?

【A】何を目標にして戦い、どのような結果を出していくかだと思います。もちろん、参加する以上、中国という国を代表して誇りを持って戦い、金メダルを狙って戦います。自分達が思い描くプレーをして、メダルを獲得したいです。アメリカや日本、キューバなど素晴らしいチームがたくさん出場してくると思いますが、そういったチームと互角に戦える立場にいたいですね。自分達のベストの状態で戦うこと、そしてメダルを獲ることがゴールです。

【Q】現在、中国選抜チームは世界のどの位置にあると思いますか?

【A】日本、キューバ、アメリカに比べたら、中国は全然、格下、まだまだ道のりは遠いです。どうやって彼らと互角に戦うか、その方法を見つけなければなりません。だから我々は今、日本に来て、試合と練習を重ねています。日本のファームとの試合で、我々より優れた選手と戦う方法を学んでいるんですよ。今は格下にいるのは分かっているけれど、いつか追いつくことを目指しています。

【Q】日本のファームと対戦して、結果や試合内容はいかがですか?

【A】前回、日本で対戦したときは1勝しかできませんでした。今回はすでに3勝しており、いい結果が出ているといえるでしょう。結果的には負けましたが、試合内容で良かったというポイントも増えています。試合の流れのなかで、どのように戦うか、例えば勝っている時には、どのように戦い、リードされた時にはどのように追いかけるのかを、強いチームと戦うことで学んでいます。今回の日本遠征の後は、アメリカ・アリゾナに行ってチーム練習を行う予定です。試合経験と練習の積み重ねでチーム、個人としてもレベルアップを図りたい。

【Q】監督になられてから、技術的にはどこに重点を置いて指導していますか?

【A】大リーグでも監督を経験してきましたが、野球に決まった型というのはありません。1点差でリードされ追いかける状況だったら、バントをして揺さぶりをかけることも必要だし、逆に1点差で勝っているなら積極的に打ちにいき、ランナーは走るということも考えられます。では、点差に開きがあってリードされていたらどうでしょう?打たなきゃいけないし、走る必要もあるし、場合によっては的確なバントもしなければいけません。試合の流れ、ケースで様々な動きが必要です。このチームの選手達に私が教えなければならないことは、野球の戦い方は幾通りもあるということ。それを理解するには、実践という形で学んでいくことが必要でしょう。打撃にパワーがあるチームならば、パワーに頼って試合を組み立てるのは簡単です。スピードがあるチームならば、走塁に力点をおいて戦うことも簡単でしょう。監督として、勝利をもたらす鍵となるのは、パワーやスピードが必要なときに、いかに上手く引き出し使用するかを知っているということです。守備面では、投手陣が鍵です。しっかりとした投手陣とバッテリーができて、守備全体が固まります。対戦相手がマイナーチームでも、キューバでも、どこの国が相手でも、守備をしっかりしなければなりません。

【Q】様々な国と対戦し、様々なタイプの野球を学ばれたと思いますが、中国選抜チームが目指す方向はどういったタイプの野球ですか?

【A】中国選抜チームの選手が毎日、試合を重ねるという経験はこれまでになく、今回が初めてです。日本やアメリカ、ドミニカ、プエルトリコ、キューバのプロリーグでは、年間の試合数も多く、ほとんど毎日試合をしているという国ばかりです。リーグ戦前のキャンプでも試合を重ね、シーズンの締めくくりにはプレーオフもあります。毎日、試合に出て、戦い、勝つためには、選手個々の基礎体力を高めなければなりません。まず体力面の強化です。中国では、金、土、日曜の週末にしかゲームがありません。だから、私たち監督・コーチ陣は、選手にどうやって毎日プレーするかを教えています。今回の日本遠征は、かっこうの遠征です。試合をし、翌日には移動する、そしてコンディションを整え、また試合にのぞむ・・・このスタイルをまず学ばなければなりません。中国選抜メンバーは、海外での遠征経験を経て、多くのことを吸収するでしょう。実際、この4年間で、めざましい進歩を遂げています。

【Q】野球のスタイルとして、大きく分けて日本のように長打はないが足を絡めた細かい野球と、アメリカのような打撃力、爆発的なパワーヒッター、ホームランバッターを擁し、打撃力で戦っていく攻撃重視のスタイルがあると思いますが、どちらを目指しているのでしょうか?

【A】日本も、昔に比べれば、打撃力、パワーで勝負するケースが増えているように思います。私が日本のプロ野球でロッテにいた時は、もっとバントを多用していましたし。WBCで日本は素晴らしい投手陣をそろえ、個々のピッチャーが素晴らしいピッチングをしました。バッテリーの呼吸があい、バッテリーを軸に守備の連携もよかった。そして最後はチャンピオンになりましたね。キューバは世界でも屈指のチームだと思われていたけれど、優勝はできませんでした。1つ1つの試合で、戦い方やゲームの流れは異なってきます。このことを認識しなければ・・・。そして、状況に応じて、時には異なるスタイルで戦うことも学ばなければなりません。1つの戦い方に凝り固まっては、世界レベルで戦うにはダメということでしょう。ですからコンディションの調整や、スピード、そしてパワーに重点を置いています。より長く、強くプレーできるようにトレーニングをしています。

【Q】以前、ロッテに在籍していた時、選手に「君たちもメジャーで充分やっていける」という言葉をかけていたそうですが、今では中国の選手にそういった言葉をかけていらっしゃるのですか?

【A】ロッテの選手に「君はメジャーリーグでもプレーできるよ」って言うと、みんな「僕が?」って聞き返してきました。「そうだよ」って、答えていましたね。経験や練習を重ねることで、実力はついていきます。中国の選手にも、いつかメジャーリーグでプレーする人が出てきますよ。それが野球の素晴らしいところでもあります。野球はアメリカで生まれたけれど、世界のスポーツですからね。今、メジャーリーグでプレーしている日本人選手は何人いますか?たくさんいますよね。それと同じことです。今の中国の野球レベルは、40年前の日本と同じくらいの位置にあると思います。中国では野球の歴史は浅く、まだまだ若いスポーツです。でも私は、野球は中国にふさわしいスポーツだと思っています。日本のような小学生が参加するリトルリーグや高校野球のような野球環境を整えるまでに時間はかかりますが、中国が野球の環境を整えはじめたら、いつか中国の選手の中からメジャーリーグでプレーする人が出てくるはずです。日本の野球が今のような位置にたどりつくまで、時間がかかったように、中国も時間はかかるけれど、トレーニング方法や強くなる方法を学んでいけば、もっと早い速度で進歩していくと思います。

【Q】11月に開催される「KONAMI CUP アジアシリーズ2006」に向けて、注目の選手は?

【A】捕手で3人をエントリーしています。年長のワン・ウェイがナンバーワン、強肩です。肩の強さはメジャーリーガー並みでは。彼を筆頭に捕手はそろってきています。リ・レイは、センターやセカンドなど内外野を守ることができ、打撃センスもある若い選手です。彼はこのチームにとって重要な選手になりますね。リ・タオは、私の好きな選手のひとりです。打席に立つととてもアグレッシブで、脚力もあり、将来、特別な選手になりますよ。ショートを守るホーも注目選手です。親指の怪我でこの日本遠征には参加していませんが、スイッチヒッターで、守備範囲も広く、中国のオリンピックチームのメンバーになります。そして、スン リンフォン。DHにも入りますが、センターを守り、中国のイチローのような選手です。走れるし、とてもエキサイティングで攻撃的なプレーをする選手です。体は小柄ですが、ホームランも打つなどパワーヒッターのような要素もあります。足も速いので、盗塁も狙えます。とにかく若い選手が多いなかで、みんながチームを作り上げている状況です。オリンピックまであと2年。選手の調子を整えて、チーム全体のレベルアップをはかることで、メダル獲得をめざします。オリンピックに出場するだけが目的じゃなくて、何かを目指してオリンピックという舞台で戦うことが大切です。メダル獲得をめざさない理由はありません。この選手達にとって、自分の国で強豪国と戦うのは、初めての経験です。その舞台でうまく試合をすることが、中国で野球の裾野を広げていくうえで重要となるでしょう。

【Q】投手で注目選手を教えてください

【A】左投手のボウ タオは、ピッチングの組み立てがうまく、コントロールも良い。腕の調子が良ければ実力のあるピッチャーなので、彼の調子を維持していかなければ。キューバ戦では、素晴らしいピッチングをしました。去年のアジアシリーズ、WBCといった経験がこの選手達にとって重要です。

【Q】KONAMI CUP アジアシリーズ2006での目標は?

【A】もちろん勝つことですよ(笑)。我々に準備が出来ているかって?そのうち分かるでしょう。勝つためには、ポジティブな態度が必要です。それが第一です。第二に、試合は一生懸命、且つ正しくやらなければなりません。勿論みんなポジティブな態度でいるけれど、試合でプレー出来なければいけませんからね。投げて、守って、打って、そして走らなければいけません。だから、一生懸命試合に臨んで正しくプレーすれば、強豪国にもひけをとらない試合をすること、互角に戦うことができると信じたいですね。アジアシリーズでは、プロフェッショナルで、我々よりも高いレベルの選手と対戦することがわかっています。日本がどんな成績を収めてきたかも知っていますし、韓国野球もすごく成長しており、チャイニーズタイペイは常に我々にとってチャレンジングなチームです。今優勝できるくらいに力があるかって?それはまだ分かりません。試合をしてみなければ。それが私の、中国選抜チームが試合をするときのアプローチ方法です。

【Q】WBCでの中国代表チームについて、そして日本が優勝したことについてどう思いますか?

【A】WBCでは中国代表チームが、プロで且つ高いレベルのチームと戦った最初の試合でした。そして我々は戦う準備ができていませんでした。でも、あれが限界だったんです。日本、韓国、全ての国の最強のチームでしたからね。我々が学んだことは、メジャーリーグの選手の野球がどんなものかってことですね(苦笑)。とても屈辱的だったけど、そこから多くを学びました。私はメジャーリーグでプレーしたし、監督も、コーチもしてきました。ですが、選手は自分たちの目で見て体験しなければいけませんでした。屈辱的な試合だったけれど、個人的にはOKでした。これでどういうものか分かったと思いますから。日本の優勝は素晴らしかったですね。ところで、お願いごとをしてもいいですか?王監督によろしくお伝え下さい。王さんとは友達なのです。日本の勝利にとても興奮しているし、とても嬉しいです。どうやって勝ったかということよりも、日本が勝ったという事実が重要です。彼らは良く戦ったと思います。王さんは世界に野球を広めた本当の大使のひとりです。本当に特別な人です。WBCアジアラウンドが終わり、私がアメリカへ戻る飛行機は、日本代表チームと同じ便でした。そのとき王さんとは、機内でバッティングの話を2時間しました。本当に素晴らしかった。いつか王さんが中国に来てくれたら、この選手たちは、本当にすごい選手だった人から野球を学ぶことができます。王さんとコーチの荒川さんの物語は若い選手たちに語られるべきです。私がロッテにいたときに、当時、読売ジャイアンツの選手だった王さんを直接見ていましたし。王さんに会った後は友達になりましたよ。最後に、中国はよくやっています。進歩しています。やらなければならないことはたくさんあるけれど、着実に進歩していますよ。